諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「ど、どうしたんですか?」

 彼のすべてを見透かすような鋭い眼差しに、私は思わずドキッとする。

 普段なら見つめてくれている、と喜ぶところかもしれないが、視線から理人さんの言おうとする台詞がだいたいわかっていた私は、困ったように眉尻を下げた。

 理人さんには、誤魔化しなんて通用しないか。

「……実は昨日、父に大学から自分で就職したいって言ったら反対されたんです」

 観念した私は、理人さんを見つめながら告げた。それを聞いた彼は、両手を自分の膝の上に置き、姿勢を整えて聞いてくれる。

「理由は? お前が自分で就職したいって理由」

 理人さんの問い掛けに、私は一瞬唇を噛み締めた。そして、軽く深呼吸してから再び話を始める。
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