諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
 * * *

 そのあと、父と何度か話し合って自分で就職するのを了承してもらった。随分あとになって母から、理人さんが電話で父に話をしてくれた旨を聞かされた。

 私の思いを信じてあげてほしい。絶対に大丈夫だから、と。

 理人さんは私には父と話したなんて言ってくれなかったから、その話を耳にしたときは本当に驚いた。口では意地悪ばかり言うし、冷たいけれど、彼ほど優しくて心が温かい人を私は知らなかった。

 そもそも理人さんに出会わなければ、私は自分の力でなにかをしたいなんて考えなかったかもしれない。

『自分の一部を否定してやるな』

 あの言葉に、私がどれだけ救われたか。
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