嘘恋のち真実愛
「いや、いっぱいしてくれてる。そんなふうにいつも俺を見てくれるし、笑ってくれる。それだけでも十分なのに、俺のためにご飯まで作ってくれる」


征巳さんは、うれしそうに笑った。その笑顔につられて、私も笑みを浮かべる。

夫婦になったばかりの私たちだけど、お互いそこにいるだけで、支えあえているようだ。これからも手を取り合っていきたい。


「ところで、明日いろいろ言われるかもしれないさど、あまり気にしないで」

「明日? いろいろって何を……会社で?」

「うん、そう。今日一日ゆりかがいないことに、落ち着かなくてね」

「えっ? 征巳さん、何をしたんですか?」


私の問いに彼は頭をかくだけで、ひと言も答えなかった。明日、なにを言われるのか少し不安だ。

私のいない会社で征巳さんがどんな様子だったか、知りたいけど、からかわれるような気がして、複雑な気分だ。


翌朝、一日体を休めたおかげで、すっかり元気になった私は、彼の運転する車で出社。

征巳さんの心配性は継続中て、駐車場に到着してから、また同じことを言う。
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