嘘恋のち真実愛
「涼太、先に行きなよ。俺たちはあとので行くから」

「はいはい、わかったよ。俺は邪魔なんだね。ゆりかちゃん、今度征巳と一緒にうちに来てね」

「はい、ありがとうございます」


先にエレベーターに乗っていく副社長に頭を下げた。

ふたりだけになると、征巳さんは私の背中に手を添えて、顔を耳元に近付ける。夫婦になってからも密着されると、ドキッと胸が高鳴ることがある。


「あまり涼太と仲良くしなくていいから」

「でも、涼太さんと征巳さんの従兄ですから、仲良くしたほうがよくないですか?」

「うわべだけでいいよ、そんなの。涼太さんとか呼ばなくてもいいし」

「ええっ? あ、征巳さん……もしかして妬いています?」

「はっ?」


自分の従兄と仲良くしなくていいとは、変だ。普通は波風を立てないよう、仲良くしてと言うものだと思う。

征巳さんはなぜ副社長に対して、敵意があるような態度を取るのだろうと考えた結果……思い付いたのは嫉妬。


「いや、別に……涼太になんか、妬いていないから。ゆりかが仲良くしたいなら、したらいい。俺のことは気にしないで……」

「征巳さん」

「なに?」
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