嘘恋のち真実愛
早くここを出よう。待ち伏せされていても、なにか言い訳すれば突破できる。
まずは身の安全を第一に……。そろりそろりと部長との距離をあけていく。
しかし、彼が目ざといのか私の動きが分かりやすいのか、手首を掴まれた。
「は、離して!」
「勘違いしてるよね?」
「勘違い?」
「支払いしてあるのに泊まらず帰るのはもったいないと思わない? 俺は帰るから、芦田さんひとりで泊まったらいいと言ったんだ。朝食付きのプランだから、ゆっくり食べてと」
掴まれたことで怯えた私は、勘違いと聞かされて一瞬言葉を失った。
分かりにくい……。説明が足りない……。
「勘違いしました」
「そんなに俺、信用ない?」
「だって……」
続けようとした言葉が失礼なことだから、黙りこんでモジモジと離された手首をさする。
部長は「また言わないのか」とため息をついた。
あ……また指摘されてしまった。「すみません」と小声で返す。
部長は小さすぎた声を拾えなかったらしく、無言で残りの水を飲み干してから、上着を片手に抱える。
まずは身の安全を第一に……。そろりそろりと部長との距離をあけていく。
しかし、彼が目ざといのか私の動きが分かりやすいのか、手首を掴まれた。
「は、離して!」
「勘違いしてるよね?」
「勘違い?」
「支払いしてあるのに泊まらず帰るのはもったいないと思わない? 俺は帰るから、芦田さんひとりで泊まったらいいと言ったんだ。朝食付きのプランだから、ゆっくり食べてと」
掴まれたことで怯えた私は、勘違いと聞かされて一瞬言葉を失った。
分かりにくい……。説明が足りない……。
「勘違いしました」
「そんなに俺、信用ない?」
「だって……」
続けようとした言葉が失礼なことだから、黙りこんでモジモジと離された手首をさする。
部長は「また言わないのか」とため息をついた。
あ……また指摘されてしまった。「すみません」と小声で返す。
部長は小さすぎた声を拾えなかったらしく、無言で残りの水を飲み干してから、上着を片手に抱える。