嘘恋のち真実愛
フロアの外に出ていく部長のあとを追って、一番近くにあるミーティングルームに入る。

午後の打ち合わせもここで行う予定で、予約してある。今はタイミングよく、空いていた。 部長の向かい側に座り、彼が口を開くのを待つ。

両手をテーブルの上で組んだ部長に真っ直ぐと見つめられて、私も話を聞く体制でしっかりと見つめ返す。

彼は微かに口もとを緩ませた。


「今度の土曜日、うちに来てほしい」

「えっ、土曜日に? それはなんかの業務ではないですよね?」

「もちろん、業務外のことだ。例の件で両親に会ってもらいたい。あとで、詳しい段取りをメールで送るから確認して」

「部長のご両親にお会いする? あ、はい……分かりました」


いつかくると覚悟はしていた指示だけど、まさか部長の両親に会うことだとは予想を超えていた。

ご両親を欺くなんて……本気なのかな? 嘘だとばれたらどうするのだろう。不安から戸惑いの眼差しを部長に向ける。彼は軽く首を傾げた。
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