嘘恋のち真実愛
青椒肉絲、ワカメスープ、春雨サラダ、ご飯をテーブルに並べる。半袖Tシャツとスウェットパンツという部屋着に着替えた征巳さんは、テーブルを見て、「おおっ!」と目を輝かせた。


「お口に合うと、いいんですけど」

「絶対うまいと思う。ゆりか、ビール飲む?」

「はい、いただきます」


征巳さんが注いでくれたピールで乾杯をし、まずは食べる彼を見る。まずくはないとは思うけど、彼の舌は肥えているだろうから、ちょっと心配だ。

ワカメスープを飲んで「うん」と言い、春雨サラダを食べて「うんうん」と言い、青椒肉絲を食べて「美味しいね」と言った。


「合格でしょうか?」

「合格って、なに? テストしていないよ。どれも美味しくて、箸が進むね。困った、毎日作ってもらいたくなる」

「土曜日までなら、毎日お作りしますよ」

「土曜日までの期間限定か、短いな。両親たちと会うのを来週に変更してもらうかな」

「はい? いえいえ、ダメですよ。変更しないでください」


ここでの暮らしが一週間延びるとは、あり得ない。土曜日までの数日間だからと割りきっているのだから、変更されたら困る。
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