凌玖先輩から逃れられない
来客用のソファがあるらしく、そこに腰掛けると副会長が紅茶を淹れてくれる。
「仕事全然終わってないのに、5時になっていきなり抜け出すんだからどうしたかと思えば、そういうことだったんだね」
「え?」
図書館に来てくれたからてっきり仕事を終わらせたのかと思ってた。
わたしのために仕事を放棄させてしまったことに罪悪感が募る。
「すみません!お手を煩わせてしまい……」
「気にしないでくれ。こっちこそ、すぐに仕事片付けてなくて申し訳ない」
本当に忙しいのか、そう言えばすぐに書類に手を出し始める。
なんか急かしてるみたいで、ここにいるのが申し訳なくなってきた。
「あのっ、わたし帰りますので先輩は仕事に……「駄目だ。外は暗いからひとりで帰らせるわけにもいかない」
「俺、手伝おっか?」
副会長が助け舟を出すが「いや、俺の仕事だから」ときっぱりと断られる。
「ほんと篠崎は責任感強いんだから。じゃあ、沙耶ちゃんの退屈しのぎに付き合ってあげるよ」
「おい、さっさと帰れ」
先輩は書類をチェックしながら、鋭い声を飛ばす。