凌玖先輩から逃れられない
「篠崎とは中学からの付き合いでね」
紅茶を一口嗜んでから、話し始めたのは先輩のことだった。
「同じ学校じゃなかったけど、塾が一緒だったんだよ」
「そうだったんですね」
「それで、あいつ一時期塾の模試の成績がすこぶる悪かったみたいで……ああ、俺からすれば普通に嫌味なくらい良かったんだけど、あいつは納得していなくてね」
先輩にもそんな時期が……やっと先輩がわたしと同じ人間だという感覚を覚える。
「その苛立ちを周りにぶつけて、それでさらに嫌気が差したみたいで悪循環。見ていられなかったよ」
仮に先輩は誰かを非難したり怒ったりしても、そこにちゃんと正論を含ませているだろうから。
意味もなくそんなことをする姿が想像できなかった。
「そんな時、君と出会ったんだって」
「……わたし?」
思いがけないことに、キョトンとする。