アテナ・イェーガー〜ダンス、のちにキス〜
普通の女の子として
ロネがアテナと何度もダンスを練習しているうちに、街は祭りに向けて華やかに飾られていった。

ロネは赤い蝶ネクタイを結び、一年で一度しか着ることのないスーツ姿の自分を見つめる。今日はいよいよ待ちに待った祭りの日だ。外からは賑やかな声が聞こえてくる。

「赤か〜……。アテナの目の色の一緒だな」

ルビーやガーネットを思わせるアテナの目を思い出しながら、ロネは森へと向かう。アテナを迎えにいくためだ。

街は音楽に包まれ、どこを見ても人々の笑顔がある。おいしそうなパンなどの食べ物の匂いがロネの鼻腔に入り込んできた。

周りを見れば、女性も男性もいつも以上に着飾っている。ロネはアテナのドレス姿を想像して胸を弾ませた。

森の近くには当然人はいない。しかし、街から少し離れていても祭りの音が聞こえてくる。あそこに今からアテナと行くのだ。ロネは楽しみから自然と足が早くなっていく。

「アテナ!!アテナ〜!!」
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