インスピレーションを信じて

務が 予約していたのは

丘の上に立つ 和モダンなホテル。

車を降りると 恐ろしいほどの星が 目に飛び込んできた。


「わぁー。すごい星。」

空を見上げて 私が言う。

「うん。あれがオリオンだよ。」

私の肩を抱いて 務は空を指す。

「本当だ。務 星とか 詳しいの? 」


私は 少し驚いて 務を見る。

「ううん。知っているのは オリオンだけ。」

務は 笑いながら 言う。

「フフ。あっ。北斗七星も よく見えるよ。」

「どれ?」

「ほら、あそこ。柄杓の形してる…」

空を見上げて 指さしていると

上から 唇が落ちてくる。


「もう。教えてたのに。」

照れて 頬を膨らますと

「いいの。俺の星は レーナだから。」

と務は サラッと言う。

私は クスッと笑うと

「務って そういうこと 言う人だったの?」

と聞いてしまう。


恥ずかしそうに 微笑む務。

私は そっと 務の腕を掴んで 顔を寄せた。


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