インスピレーションを信じて
私から 務へのプレゼントは キーケース。
務が使っているお財布と 同じブランドで選んだ。
「わっ。マジで嬉しい。俺 キーケース 欲しかったんだ。」
務は 私の肩を 抱き寄せる。
「私たちの部屋の鍵 付けてね。」
甘い クリスマス。
ちょっぴり飲んだ シャンパンが 私を 大胆にして。
熱く 身体を重ねた後で
私は 務の望むまま 一緒に 露天風呂に入る。
「俺 あの夏 なんでレーナに 連絡先 聞かなかったのか スゲー後悔したんだよ。」
務に 背中から抱かれて。
火照った顔に 心地よい冷気。
熱めのお湯が 身体を包んで。
空には 満天の星。
「私も。務 何も 聞いてくれないから。私からは 聞けなくて。でも 何度も 聞こうとしたの。また会えるかなって。」
「別れてからも ずっと 心から離れなくて。俺 どうしていいか わかんなかった。絶対 もう会えないと思っていたから。奇跡だよ。」
「でもね。今ならわかる。あの時 連絡先聞かなくて よかったって。務のこと ずっと忘れられない自分に 気付けたから。あの後 東京で会ったら きっと ダメになっていたと思う。務の大切さに 気付けなくて。」
「そうだね。俺も 子供だったから。レーナを傷付けていたかも。今 会えて よかったんだね。」
務は 私の肩に そっとお湯を 掛けてくれる。