俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「あ…」

「カッコよかったな、なんて…付き合ってる時、試合見に行けばよかったな…」

「………」



突然の薫の呟きに。

返答出来ず、言葉を失ってしまう。



え、薫…それは、どういう意味だ?



そう思って、彼女の方を見るが。

薫は窓の外の景色を眺めていた。



この、今の状況で、そんな事を言われても…。



触れる事のなかった領域の話を、突然吹っ掛けられて戸惑いを隠せない。

そんな後悔ともとれる発言、どう返したらいいんだ。



「………」



薫に返す言葉を探していると、そのうち車がゆっくりと停車する。

ふと顔を上げると、そこは見覚えのあるモダンな外観の建物。

目的地、ペンタグラムだった。



「伶士さま、ご到着致しました」



あ、はい…。





時間は10時五分前。

忠晴に「終わりましたらご連絡下さい」と言われて、薫と二人で車を降りる。

忠晴の車を見送って、二人でカフェへと向かうが。



「…え?ここ?」



薫は首を傾げる。

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