千景くんは魔法使い
「じゃあな」
話してるうちに日が暮れてきて、真田くんと弟くんたちが途中まで送ってくれた。
「兄ちゃんの女?」
「ちげーし、女とか言うな」
兄弟のやり取りを見てクスリと笑みが溢れる。
ぞろぞろと遠ざかっていく背中を見送っていると、足元にえんじ色のなにかが落ちていた。
拾い上げると、それはS中学の生徒手帳だった。
確認するように開くと、顔写真とともに名前が載っていて、真田くんのものだった。
「あ……」
引き止めようとしたけれど、真田くんは姿が見えないくらい遠くに行ってしまったあとだった。
また河川敷に行けば会えるかもしれないし、とりあえず預かっておこう。
私はなくさないように真田くんの生徒手帳をカバンの外ポケットへと入れた。