千景くんは魔法使い


翌日。学校では期末テストのため、席は五十音順で座った。

テストは9科目を三日間に分けて行うため、その間は部活もなく、昼前に帰ることができる。


「花奈ー。テスト疲れたね」

テストが終わると、桃ちゃんがじゃれあうように寄りかかってきた。

「あと二日間頑張ろうね」

私は桃ちゃんの頭をなでなでする。

ホームルームが終わると、クラスメイトは颯爽と教室から出ていった。

私も帰ろうとカバンを肩にかけると、「花奈」と千景くんに名前を呼ばれた。

千景くん狙いの女の子たちは、相変わらず私たちが話していると嫌そうな顔をするけれど、千景くんが気にしないから私も前ほど意識しなくなっていた。


「今日、うちに来ない?」

「……へ?」 

予想外の誘いに、間抜けな声が出てしまった。


「母さんがこの前のお礼も兼ねて晩ごはんをご馳走したいって言ってるんだ。ほら、俺のことコンビニから一緒に運んでくれたから」

「嬉しいけど、お礼なんて気にしなくていいのに……」

「うん、でもしたいんだって。それでこれから俺の家でテスト勉強して、晩ごはん食べてから帰らない?っていう誘いなんだけ
ど……」

千景くんが照れたように頬を掻く。こんな顔見せられたら、私の返事はひとつしかない。


「じゃあ……うん。よろしくお願いします」

まさかこんなサプライズがあると思わなかったから、テスト疲れが一気に吹き飛んでいくような気分だった。

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