千景くんは魔法使い
「ちゃんと連れてきてくれた?」
「連れてきたよ。もう、本当に大変だったんだから、昼めしおごって」
「フランクフルト一本ね」
他にも誰かいるんだろうかと、男子の後ろに目を向けると、ふて腐れた表情で歩いてくる綺麗な男の子がいた。
……ち、千景くん?
「今日はね、職場体験メンバーで遊ぼうと思ってさ。小野寺はプールとか嫌いそうだから、男子に頼んで引っ張ってでも連れてきてって頼んでおいたんだ」
桃ちゃんがそっと、耳打ちをしてきた。
千景くんは本当に引っ張られてきたようで、全然乗り気ではないような顔をしていた。
不機嫌だけど、会えて嬉しい。
私たちがぎくしゃくしてることは桃ちゃんも知っているから、気を利かせてくれたのだと思う。
「最初はみんなで遊んで、途中で私は男子ふたりを連れて違うところに行くから、花奈は小野寺といなよ」
「え、でも……」
「今日話さないと、また1カ月会えないんだよ。いいの?」
私はその言葉に首を横に振った。