千景くんは魔法使い
『まあ、あくまで可能性だけどね。魔法についてはまだ未知なことがたくさんあるし、ちっちが魔法使いになってても不思議じゃないかなって』
千景くんは電話越しで笑っていた。
千景くんの魔法は今でも消えたままだ。
厳しい部活の中で悩みはあるだろうけれど、千景くんの心が前に向いているから、もう芽生えることはないと思う。
「また魔法を使いたいって考えることはない?」
『うーん。元々自分のために使うことはなかったから考えないかな。まあ、魔法が消えたことで花奈を驚かせたり、喜ばせたりすることは減ったかもしれないけど』
「減ってないよ!私はこうして電話することも嬉しいし、千景くんと一緒にいられるだけで幸せだから……!」
千景くんの彼女になってから、私は喜びしかもらっていない。
『もう、そんな可愛いこと言わないでよ。今すぐ会いたくなるじゃん』
その言葉に、ドキッと心臓が跳ねた。
彼氏になった千景くんは拗ねたり、甘えたりと、私にしか見せない声や表情をしてくれることが多くなった。
そのたびに私は千景くんに心をわしづかみにされている。
「そ、そういえば今週末の夏祭り行けそう?」
このままだと私の心臓がもたないので、慌てて話題を変えた。
『うん。部活は休みだから大丈夫だよ』
「じゃあ、楽しみにしてるね!」
もう少し話したかったけれど、明日も千景くんは朝練があるから迷惑にならないように早めに電話を切った。