千景くんは魔法使い
それから数日後。週末を迎えてついに約束していた夏祭りの日を迎えた。
「うう、お母さん。苦しい……」
「ちょっと動かないで」
「は、はい」
お母さんは型崩れしないように帯をこれでもか!というほどにきつく結んでくれている。
「ほら、できた!」
くるりと体を全身鏡のほうに向けられると、そこには浴衣姿の自分が映っていた。
ピンク色の浴衣には蝶々柄があしらわれている。帯は紅色で、髪の毛にはお花の髪飾り。
実は今日の夏祭りのために今まで貯めていたお年玉を使って自分で揃えたのだ。
「変じゃない?」
「すごく可愛いわよ」
「そうかな?」
私はもう一度鏡を確認する。メイクも大人っぽくしたし、リップも浴衣の色に合わせてピンク色にした。
……千景くん、喜んでくれるといいな。