千景くんは魔法使い
……あ、笑った顔、初めてみた。
カッコいいのに、笑顔は可愛くて、やっぱり千景くんは優しい。なんだか胸がドキドキしてきて、
きっとこれは走ったせいなんかじゃない。
もっとこう、胸が締め付けられるような、千景くんのいろいろな表情をたくさん見たいなって思った。
「ねえ、遠山さん。目つむって」
「……え?」
「お願い」
「う、うん」
意味がわからなかったけれど、私は言われたとおりにまぶたを閉じた。すると、じんわりと膝が温かくなってきた。
千景くんがなにをしてるのか気になって、私はゆっくりと目を開けてみる。
千景くんは、ケガをした私の膝に手をかざしていた。
それだけじゃない。なんと、温かさと一緒にケガがみるみるうちに治っていく。
「す、すごい……」
私はため息まじりの声を出した。どうやら私が目を開けていたことに気づいていなかったようで、千景くんは困ったように眉毛を下げる。
「目つむってって言ったのに」
千景くんが私の膝から手を放す頃には、すっかりケガは綺麗になくなっていた。