千景くんは魔法使い
友達がいないのは、私のせい。
教室で浮いているのも、私のせい。
でも、ひとりでいることを寂しいと思うんじゃなくて、楽だって感じてる自分もいる。
もう、本当に私って……。
「なんで泣きそうなの?」
千景くんの声にハッとした。
「そんなにひとりで背負い込まなくてもいいんじゃない?」
まるで私の心を読んだみたいに、優しい言葉をかけられた。
「もうすぐチャイムが鳴るから、一緒に教室に戻ろうよ」
クールな人だと思っていたけれど、千景くんはビックリするほど気さくで、口調も柔らかかった。
「う、うん」
私は追いかけるように、小走りで千景くんに近づく。
千景くんは泣きそうになっていた理由さえ、聞いてこなかった。
教材室の扉を閉める寸前で、私は今一度、本棚に視線を向ける。
さっき本が止まって見えたのは、気のせいだったのかな……?