ある朝、晴れた日の夢。
晴れた日。

窓から、オレンジ色の光が静かにさしている。静寂な朝の街のマンションや住宅を、朝焼けの光が照らしている。

昼間の騒々しい街とは大違い。鳥の声も、朝食の支度の音も、ましてや、車の音なんて聞こえもしない。

寝苦しい夏の夜をほんの数十分前まで過ごしていたはずなのに、どうしてこうも爽やかなのか。

汗で少し張り付いた寝間着は気持ち悪いはずなのに、心の中は心地の良いぬくもりで包まれている。



黒い粉末をコーヒーフィルターに入れる。しばらくすると、ポコポコという音がして黒い液体が容器に溜まり出した。

「...いい香り」

マグカップに入れたコーヒーの香りが鼻腔をくすぐり、熱さに目を覚ました。

< 1 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop