闇の中の太陽
そう思いながら、慣れた手つきで傷を治し
ていく。

あんまり跡が残らないと良いな。

傷を押さえながら救急箱をしまう。そして
窓に腰掛ける。

今日は月が綺麗だ。

私の名前は森宮美蘭

妙にキラキラした名前。私は自分の名前が大っ嫌いだ。私には似合わないから

小学生の低学年の頃に一度だけ母に名前の由来を聞いたことがある

『名前の由来ぃ?あぁ、それはねぇ将来ぃ、
私みたいに夜の街で働くかもしれないじゃ
ない。そん時、その名前だと考えなくて良
いじゃん。そ・れ・に〜"みらん”ってかわい
くな〜い。キラキラしてて〜』

あぁ、思い出してもバカバカしい。

自分の名前がそんな理由なんて。

あぁさっきの傷がまだ、ヅキヅキする。

今回は長引くな

母はまた男を連れて来るんだろうな。

今回は何回殴られるんだろう。タバコは痛いし跡に もなるから嫌だなぁ。

まあ、いざとなった ら背中にしてもらおう。そう思いながら服 の袖をめくる。

そこにはタバコの跡やらカッターの跡やら痣がおびただしくあった。

わかっている。

これはれっきとした虐待だ
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