転生したら極悪非道な皇帝の妻になるが実は、ただのツンデレでした!?(9/29に修正済み)

「あらあら。相変わらずツンデレさんだこと。
 それよりウチのお店に寄ってらっしゃいな。美味しいパンが焼けたのよ」

「あ、いいところに。陛下。
井戸の水が最近少なくなっているんだが……どうにかならんかね?」

「陛下。屋根の雨漏りが酷いんだ!」

 あの男は、相変わらずの態度で街の人達に冷たい態度をとった。
 だが街の人は、それに対して驚くことも恐れることもせずに
むしろ注文までしてくる……。

「はぁ?井戸の水や雨漏りだ?貴様らには、それがお似合いだろ」

「何だ……陛下のくせに出来んのか?
随分と大したことのない王だな」

「な、何だと!?俺に出来ないことはない。
 よし、見ていろ雨漏りなんてすぐに部下を呼び、どうにかしてやろう。井戸もだ!
俺が飲む時に困るからな。直した後にでも、おこぼれをやろう……」

「それは、ありがたいねぇ……」

 うん……?むしろこの男の性格を私よりも理解しているように感じた。
 天の邪鬼な彼の性格を逆に刺激させて
修理をさせるように話を進めてきた。
 それにまんまと乗っかるあの男も単純というか
騙されやすいが、何だろうか?
 周りは、それを受け入れているように感じた。
すると1人の年配の女性が私に近づいてきた。

「こんにちは。見ない顔だけど……あなたは、
もしかして皇帝の妻になった隣国の皇女様かしら?」

「あ、はい。一応……」

 まだ予定なんだが違うとも言えなかった。
するとクスッと微笑んできた。

「そう……初めは、驚いたでしょう?
皇帝の性格に。でも誤解しないであげてね?
 あの方は、不器用なだけなの。根は、素直でお優しい方なのよ。
 街の人にもこうやって気にかけて、たびたび会いに来て下さるの。
 ツンデレさんだから素直になれず憎まれ口を叩くけど
皆は、それを理解して見守っているわ。
 きっとあなたにも素直になれないだけで本当は、大切に想っているはずよ……」

 私は、その言葉に衝撃を受けた。
この女性は、あの男の性格を理解しているようだった。
 そして街の人も……。
大切に私のことを想っている……?

< 53 / 130 >

この作品をシェア

pagetop