一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「松永さんごめん」
ハッとしたように言うと専務は財布を取り出した。

「これ、食べてしまっていいだろうか? 何かを買ってきて?」
お金を出そうとするのを、私は必死に阻止する。

「ダメです。お礼なのでそのお金はいただけません。何か買ってきます。ゆっくり召し上がってください」
私はそう言うと立ち上がった。
「ありがとう。とってもおいしい。ほとんど外食だから嬉しいよ」
柔らかな笑顔で見つめられ、私はドギマギしつつ専務が食べる様子をうかがう。

中に入ったトマトとブロッコリーが目に入り、つい言葉が口をつく。

「きちんとお野菜も食べてください。あ……。いやだ。ごめんなさい、いつも真由に言うから……」
恥ずかしくなり口ごもった私に、専務は「わかりました」と笑いながらトマトを口に入れた。

「いってきます」
呟くように言って私は専務室を後にした。
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