一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「この部屋はシャワーしかないから……。お湯がたまったら先どうぞ」

「シャワーでいいです」
咄嗟に答えたが、真翔さんは私を真っすぐに見つめる。

「咲綾はそれでいいかもしれないけど、真由ちゃんはきちんと入った方がいい。だから二人でゆっくり入りなさい」
真由を出されてはもう何も言えない。

「わかりました」
私の言葉に真翔さんは満足そうに微笑むと、部屋を出ていった。

「真由、今日おうちが少し壊れちゃったから、まなくんのところにお泊りだけどいい?」
今さらとは思ったが、部屋の中を歩き回っていた真由に尋ねる。
「うん、いいよ。まなくんのおうちうれしいもん」
「うれしい?」
私の問いに、真由は屈託なく「うん」と頷く。そんな真由に私は心の中で大きなため息を付いた。



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