一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

私はもう何がなんだかわからなくなっていた。
おもむろに立ち上がると、あの日以来しまい込んでいた封筒を、チェストの引き出しから取り出す。

「違うの? じゃあ誰……」

「ふざけないで! 私を、あの時あっさり捨てたくせに! 私と真由を、あなたの人生から締め出したくせに! お金で解決したくせに!」
私はもう自分を制御できずその封筒を、真翔さんにめがけて投げつけていた。

「え?」
その私の言葉に、真翔さんが大きく目を見開く。
封筒から万札がバラバラと舞い散る。
それがやけにゆっくりに見えて、視界が滲んでいく。

「あんなことしたのあれっきりよ! あなただったから、あなただったから……」
言ってしまった……。
こんな風に真由のことをいうつもりなどなかったのに……。

今までのことが頭をグルグルとまわり、心も頭の中もグチャグチャでもう訳が分からなかった。


涙が零れ落ちているのも気づかず、床の色が変わるのを見ながらズルズルとその場に座り込んだ。

「真由ちゃんは俺の子?」
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