一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「兄貴!」
副社長の言葉を遮るように、真翔さんがやってくると私を後ろから抱きしめ顔を覗き込む。
「何泣かせてるんだよ」
「え?泣かせて?」
副社長は真翔さんの言葉に、私をジッと見据える。
「泣いてない。泣いてないですって」
慌てていった私に、副社長は小さくため息を付いた。

「真翔、お前偉いよ。俺には咲綾ちゃんが泣きそうだなんて全くわからん」
「俺にはわかるんだよ。咲綾兄貴に何を言われたんだ? 大丈夫?」
そんな真翔さんに、私は心から笑みが零れる。

「何も言われてません。嬉しかっただけです」
そう言うと、真翔さんは納得のいかない表情を浮かべた。

まだ副社長と言い合いをしている。そんな二人を見ていると、温かい気持ちが溢れてきた。

真翔さんの優しさを信じたい。
きちんと話をしてみよう。

その答えを聞くまで、私はもう逃げることはできない。

真由の為にも。私はそう心に決めた。

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