一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
意味が解らず受話器を持ったままだったが、ハッとしてパソコンを閉じると立ち上がる。
どういう人かわからないが、秘書として対応すべきかもしれない。
そう思うと、私はキュッとスーツの襟元を直した。
真翔さんに秘密がなくなった今、メガネも堅苦しいスーツも着ていない私は、そのことがなぜか急に心もとなくなる。
メガネをもってこればよかった。
そう思っていたところで、バタンと専務室の扉が開く。
そこにいたのは、副社長と同年齢ぐらいだろうか。もしくはもう少し年上だろう、30代半ばの男性がいた。
副社長とも、真翔さんとも違う雰囲気の男の人だった。
少し明るめのブラウンの髪に切れ長の瞳、この人も整った顔をしているが、真翔さんのような優しさは微塵もなく、ワイルドな雰囲気の人だった。
仕立てのよいスリーピースのスーツをサラリと着こなし、一目で見てわかるオーラはこの人もただの社員なのではないだろう。
それに、誰にも案内されることなく、迷わず一人でこれたことからもそれなりの立場なのは明らかだ。