一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「ふーん」
どういう感情でその言葉を言ったのかはわからなかったが、私は我に返るとその人の胸をおもいきり押した。

「どういうつもりですか? いきなり」
思った以上に低い声が出た。私は捕まれていた腕を、自分の手でギュッと握りしめる。

「俺はあいつら兄弟の従妹で大村蓮人。大村グループの社長であいつらの父親の弟の息子。わかった?」
子供に説明するかのように言ったその人は、応接室のソファにドカッと座ると足を組んで私を見上げた。

「そんな方がなんのご用件でしょうか」
「ふーん、まだ冷静さを保てるなんて、俺も気に入ったかも」
ゆっくりと唇が弧を描く。冷静さなんて保ててない。私は腕を握ることで何とか自分を保っていた。
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