一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

「でも、そんな兄貴が礼華ちゃんと結婚できるなら、社長の座も何もかもいらない。俺が社長になればいい。そういったんだ。驚いたし、意外だったし、そんな兄貴がカッコよかったよ。それで何か今までのことが馬鹿らしく思えた。どっちが社長でも、みんなが幸せならそれでいいって。それにトップに向いているのはどう考えても兄貴だ。俺はフォローするほうが向いてる」

そんなことはない。
そう言いかけそうになり、私はその言葉を止めた。
十分専務も仕事が出来ると思う。でもそれを今私が言葉にしてもなんの意味もない。

「専務もお仕事出来ると思いますよ」
それだけを言葉にした私に、専務はキュッと私の小指を握った。
驚いて専務を見ると、嬉しそうなそれでいて少し、熱のこもった瞳がそこにありドキっとする。

「ありがとう。なぜか咲綾には自分のことを話してしまう。カッコ悪いな」

呼び捨てにされた名前に、さっきよりさらに早く胸が脈を打ち、自分の心臓の音が耳に響く。

どうしてこんなことに……。

初めて真由と専務が並ぶ姿をみてから思っていた。
このまま事実を秘密にしていいの?

真由のことを言わなくてもいいの?

グチャグチャな気持ちを悟られないように、私は真由に視線をむけるも、繋がれた指を振りほどくことが出来なかった。
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