セレナーデ ~智之

そんな姿勢が 仕事にも生きる。

取引先へ 出向くと 根気よく 愚痴を聞く。


自分と直接 関係のない 話題にも 真摯に答える。


余分なことを していても 他の社員より 仕事が 遅くなることもない。


無駄だと 思えることが 後々実を結び 大きな成果を上げる。
 


一流企業の 競争の中 智之は信用され 順調に昇進していった。


謙虚で 穏やかな性格は 上司や同僚に 敵を作らない。



智之に 嫉妬して 足を掬おうとする相手は

いつの間にか 淘汰されている。
 


「廣澤係長って素敵。憧れちゃう。」


甘いマスクで スマートな智之は 女子社員にも 人気があった。
 

「ダメダメ。廣澤係長は 超愛妻家だからね。しかも 超子煩悩。」

智之と 同年代の女子社員が 言う。
 

「えー。そうなんですか。残念だな。」
 

「すごく 素敵な奥様だから。あなたじゃ 太刀打ちできないわよ。」

そんな会話が よく交わされていた。
 





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