セレナーデ ~智之

宮内と 話した夜。

子供達が 眠った後で 智之は 麻有子に話す。
 

「智くん。宮内さんの 彼女に 恨まれるわ。」

麻有子は 甘く 智之を責める。
 

「妥協して 結婚しても かえって 不幸になるから。逆に お礼を言われるよ。」

そっと 肩を 抱き寄せる智之に

麻有子は 甘く 寄り添う。
 

「私。智くんと 結婚して 幸せ過ぎて 幸せじゃない夫婦って 想像できないの。でも、いるのよね、そういう夫婦も。」

麻有子の言葉に 
 

「そういう 夫婦の方が 多いんじゃない。」

麻有子の髪を 撫でながら 智之は言う。


「絵里ちゃんも 壮君も 智くんとの 子供だから こんなに可愛くて。一生懸命 育てられるのよ。」

麻有子の言葉に 大きく頷き
 

「俺も 同じだよ。麻有ちゃんと 子供達の為なら 何でも したいと思うよ。」

智之の胸に 寄り掛かる 麻有子の重みが 愛おしい。
 

「私達の愛が 子供の形を しているの。可愛くて 可愛くて。この世に こんなに 愛おしいものが あるなんて。」

麻有子は 温かな 優しい声で言う。
 

「俺も。子供達を 見ると 心も体も 癒されるんだ。すごいよね。」

静かに 語り合う二人。
 








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