余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる


同じホテルに泊まり続け、そろそろ移動しようかとホテルを出た5月8日。


軽くなったキャリーケースを手に、道を歩いていたときだった。



「っ、何?!」

突然に口が抑えられた。


息が、できない。


一気に視界が白く濁り、意識がなくなった。



.



ざわざわとした声に、目を開けた。

どれくらい経ったのだろう。


わたしは手と足を縛られている。


この部屋にいるのはわたしと誰かだけで、
その誰かが口を開いた。



「やっと目、さましたね?
"蓮華"のお姫様!」

…違う。



「わたしはもう、蓮華の姫じゃない。
雀瓦さん」


「よくおわかりで、どーも雀瓦の総長です。
蓮華の姫じゃないとしても蒼野健斗の大切な人に間違いない」


「そんなこと思ってるかわかんないけど」


「そりゃどうかな。君が縛られて眠る姿を
蓮華に送りつけたからもうすぐ来ると思うけど。」


「来るわけない」



そう思っていたけど、1階で戦う音が聞こえてきたから、もしかしたらきてくれたのかもしれない。


…嬉しかったけど、もっと好きになってしまう。


「そうだ、いいこと思いついた。
あいつの前で君を襲ったらどうなるかな?」


「…別に構わない」


死ぬんだから、何されてもいい。

そう答えたとき、この部屋の扉が開いて
沢山の人が入ってきた。



「透花っ、!!」

「七瀬、無事か…っ?」

「透花大丈夫…?!」



蒼野、新さん、絢兎くん、七海くん含む
沢山の蓮華のみんなが。


「っ、てめぇ!!」

蒼野が殴りかかろうとしたとき。


頭にチャキっと何かが突きつけられた。

…拳銃だ。


「今一歩でも動いたら、この子殺しちゃうよ?」


そう言いながらも、雀瓦の総長はこれ弾入ってないからとわたしだけに言った。



雀瓦の総長は、わたしに少しずつ近づき
キスをした。

…気持ち悪い。


蒼野とは違うキスの仕方がなんだか嫌。

だけど拒むこともせずに受け入れる。



段々と手が下に下がってきて、ブラウスが乱暴にめくられた。


胸に当てられる唇が気持ち悪くて。



吐き気がした。


< 29 / 45 >

この作品をシェア

pagetop