余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる


そして、今日5月17日午後4時25分。



今までとは比べものにならないくらいの心臓の痛みと、呼吸のしにくさがわたしを襲った。


「…っけ、んと…」

「透花、透花…!頑張れよっ…!」

「電話…っ、わたしの携帯の、」

「わかった、電話するな」




酸素吸入器を頼りに待つこと15分。

わたしの場合動かしてはいけないらしく、
いつもの先生がやってきた。


応急処置を簡単にされて、こう言われた。


「もう、限界だ。覚悟をしてください」



一筋の涙が溢れたと同時に、意識が飛んだ。





.





「透花…目が覚めたのか…!」


目が覚めると、目の前には健斗と新さんと
絢兎くんの3人がいた。


この部屋の患者はわたしだけで、沢山の点滴を繋がれている。

酸素マスクもつけられている。


「わたし、もう死ぬのかな…
怖いよ…っ」

酸素マスクのせいでうまく喋れない。


3人は、柄でもないけど涙を流した。


「泣かないでっ、泣かないで…」


ごめんね、そんな顔させて。



そんなわたしたちを見て、先生は言った。

「よくがんばった。だけどもう…」


先生まで、悔しそうに涙を流した。



「…部屋の棚の1番上、手紙入ってるから読んでね。


ありがとう、楽しかったよ」



もう、限界だった。



「透花、逝くなっ…!透花っ…!!」

「…七瀬、ありがとう…」

「透花…!」




ありがとうね今まで。




「愛してる…っ!」





わたしも、愛してる。




見守ってるから、

またね。







静かに、そっと目を閉じた。





ピーーーーと鳴り響く機械音。





「透花…!、透花…」




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