余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる


もう死ぬんだから、最後に一度だけ
精一杯愛し合ってみたい。

「ねぇ、健斗」

「ん?」

「抱いて」

「……はぁっ?!お前意味わかって言ってんの?!」

「わかってる。お願い。
もう最後かもしれないの」

「…後悔すんなよ?」



悔しかった、悔しかった。

もうここまでの自分が。



…わたしに押し寄せる痛みは、

甘くて、切なくて、苦くて。


涙が溢れた。



好きだと言われて、好きだと返す。
愛してると言われて、愛してると返す。


これがあと何回できるのか、考えるだけで辛かった。





精一杯愛し合った後は顔を見合わせて恥ずかしげに微笑みあった。


「愛してるよ。」


「…わたしがいなくなったら、わたしの通帳のお金でお葬式とかしてくれる?」


「…いなくならねぇよ」


「新しい姫と幸せになってくれる?」


「…俺の姫は一生お前だけだ」



叶わないけど、嬉しかった。



「好きだよ」

「あぁ」

「好きだよ」

「俺も。


愛してる」



その言葉だけで、充分だった。






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