余命2ヶ月の少女は総長と恋に落ちる
「おい七瀬。
幽霊になってでもいいからさ、たまには遊びにこいよ。姫の座が空いてるうちにな!
…まぁ多分、埋まらないと思うが。
健斗が幸せになるように見守っていてって七瀬は手紙に書いてたけど、七瀬なしであいつは幸せにはなれないと思う。
だけどきっとあいつはもがき続ける。
…見守ってやってくれ」
新は、涙を堪えるように上を向いた。
姫の座は透花のものだ。
「健斗さん、お先失礼します。
…姫さん、下っ端代表です。
姫さんは、きっと誰よりも強くて可憐だと
勝手に思ってたんですけど、
…誰よりも、弱かったんですね。
だけどやっぱり姫さんは強かったです。
一人で戦って一人で前に進んでた。
悔しいです、こんなに強い蓮華も、
姫さんだけには勝てませんでした。
いつかひょっこり、帰ってきてくれませんかねっ…」
顔を歪めた七海は、苦しげに涙を溢した。
…そうだな、病気には俺らも勝てなかった。
俺の、番だ。
「…透花、俺のこと覚えてるよな?
透花は知らなかったろうけど、俺お前と
中学同じだったんだぜ?
ずっと好きで、卒業してからずっと後悔して。したらある日好きな女が自分の倉庫の前で首吊ってんだ、びっくりした。
…ちょっと嬉しかった。
別に自殺してたことがってわけじゃなくて、
会えたことがだからな。
病気、気付いてやれなくてごめんな。
支えてやれなくてごめんな。
…これから俺が恋愛できなくて結婚できなくても、怒らないでくれる?
透花以外と付き合うなんて…
………できねぇよ…っ!
大好きだよ、愛してるよ。
お前が倒れた時、怖かった。
自分の無力さに腹が立ったよ。
好きなやつ、ってか彼女が苦しむところなんてもう見たくない。
本当にありがとう、
…どうか安らかになっ…?
まだ別れてねぇんだから、お前が嫌って言っても。
地獄でも天国でも、果てまで追いかけてやるよ。
…だから、っまたな。
愛してるよ…」
どこまでも、追いかけてやる。
例え何度離れたとしても。