愛は惜しみなく与う⑤
「3年前、俺がお前を欲しがった時から、この運命は決まってたんだよ。ただ……理解してないお前と話すのも疲れるから」
そういってサトルはあたしに何かを手渡した
これは…
「誕生日おめでとう。これからは毎年俺が1番に祝ってやるよ。それが…俺からの誕生日祝いだ。妹の誕生日会までに、見ておけよ。全部見て全部知って…
それからお前の答えを聞きに、俺はまたここへ来る」
掌に乗った小さなそれは…黒いUSBだ
サトルは上機嫌にあたしのそばに来て、動けないあたしの身体を持ち上げて、バカでかいベッドに放り投げた
「うーーん。いいね。いい顔だ。お楽しみはとっておく」
サトルのせいで切れた、あたしの唇を触り、血を指で拭き取る。
そして、あたしの目の前で、自分の指についた、あたしの血を舐める
「頭が回ってないだろうから、数日、目を背けずに考えろ。現実を見ろ」
じゃあな
俺の婚約者さん
そう言ってサトルは笑って部屋から出て行った
部屋に取り残されたあたしは
部屋の一点をボーッと見だまま固まっていた。