愛は惜しみなく与う⑤
けど、見えてしまった


サトルを蹴ることをあたしは辞めた


ドクンドクン

聞こえるんちゃうやろか


心臓がおかしいで


「…ふっ」


なにわろてんねん
てゆうかそれは…なに?



サトルがあたしに向けて見せてきた携帯の画面

そこには


鈴がうつっていた


髪があの頃から少し伸びているが、鈴なのは間違いない。
けどこれは……何?


その鈴が映る写真、その背景に見覚えがある




「ここは…北蓮見?」


おかしい
画像の鈴は、北蓮見高等学校と書かれた正門の前にいる


なんで?北蓮見?


パッとサトルを見ると、サトルの手が思いっきり顔に当たり、あたしの身体は衝撃で後ろへ飛ぶ


いった


「そろそろ察しろよ。三年掛りの計画なんだ。もう待てない。お前は……妹のこと買い被りすぎだ。あの女は、お前みたいに、真っ直ぐで綺麗なんかじゃない。


あの女は最初から、お前のことを、俺と一緒に騙してんだよ」



身体が拒否した
その先を聞きたくないと


ただ耳を塞ぐことも、目を閉じることもできない。指先一つ動かない
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