愛は惜しみなく与う⑤
「慧くんごめんなさい。色々用事あるだろうに。咄嗟に慧くんが浮かんで…」

「大丈夫だよ。暇だったし。このまま家まで送るよ」

「え、そこまでしてもらわなくて大丈夫だよ!まだ明るいし自分で帰れる」

「遠慮する意味ないじゃん?同じ方向なんだし。乗って」


オロオロする桜さん
そうか。バイクに乗せたことなんてなかったよね。でも、気にならなかった

乗れる?そう聞くとおそるおそる後ろに跨る


控えめに腰をもたれたのを確認してゆっくりバイクを走らせた。


杏ちゃんは器用に足で車体を挟んで、手ぶらでキャッキャしながら乗る。
本当に桜さんは、杏ちゃんと真逆


だけど


とても2人は似ている



「桜さんはなんで恋人作らないの?」



理由を知っててこの質問をする俺は、いつか桜さんに嫌われちゃうね

でもね、いつも同じ答えを期待してるんだ。


「あたし、好きな人いるから」


ごめんね、そんな顔させて
桜さんはなんの見返りもなく、俺に与えてくれる人だった。

他の女の子たちとは違う


この人の所にいる時だけ、心があったまったんだ
< 70 / 417 >

この作品をシェア

pagetop