へたくそなキスのままがいい
そのままグイッと手首ごと引っ張られて、私は簡単に廉の腕の中に収まってしまった。
「ちょ……っ、廉」
「紗和。あの日のこと、覚えてる?」
「っ!」
耳元で聞こえたその言葉に、ドキドキと心臓の音が速くなるのがわかる。
廉にすっぽりと埋められてしまって、やっぱり男の人なんだと自覚せざるを得なかった。
わ、私がドキドキする資格なんて……ないのに。
「勘違いなんかじゃない。告白も……キスだって、俺は紗和にしかしない」
「……ッ、」
その言葉に、思い出してしまう。