2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
最近は日も短くなり始め、太陽も沈むのが早い。先程まで明るくブルーだった空もオレンジに染まり始め、今までよりも少し早めの夕方を迎えていた。
校舎を出て、武といつものように並んで寮まで歩いて帰る。
いつもと何も変わらない、変わって欲しくないと願わずにはいられない〝日常〟。
「…なぁ」
武と他愛のない会話をしながら帰路についていると武が突然、真剣な表情になった。
「今日の麟太朗様とのことなんだけど」
「…あ、あー。その節はどうも」
武の真剣な表情によって始まった話題は今日の昼食でのことであり、私はあの時の冷え切った空気を思い出し思わず苦笑いを浮かべる。
あれは意見を知って欲しいだけだったにしろひどかったよねぇ。
「麟太朗様は間違ってねぇよ。能力者ならきっと麟太朗様と同じことを言うだろ」
「…だろうね」
武の言葉に私は思わず表情を曇らせた。
武は私を攻めているのだ。
武から見てあの時非常識なことをした私を。
夏祭りの件で少しだけでも武の考え方が変わったかもしれないと思っていたがやはり違っていたのかもしれない。
人の考え方を変えることは簡単なことではない。
「でもそれが何?俺を改心させたいとか?」
「違う」
「じゃあ何」
それでも私は武に負けないようにきつめの言葉を吐いたが、武の表情は何一つ変わらない。
真剣な表情のまま。
その真剣な表情には怒りなどの感情はなく、とてもじゃないが私をこれから攻めようとしているようには見えない。