2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
学園のとある場所に私たちはやってきた。
そこは校舎でもなく、寮でもない、代々の次期当主たちの為だけに作られた学校内にある平家の建物。学校内ではこの建物のことを四神屋敷と呼ぶ。
これから、ここ四神屋敷で私たちは当主集会をするのだ。
蒼が言っていたように今日はいつもとは違い、私たちだけの当主集会ではない。
私たち能力者を束ねるトップ、四季ーシキー家の麟太朗ーリンタロウー様が来られる。
私たちが屋敷に着いた時にはまだ麟太朗様は屋敷に来られていなかったので私たちは屋敷の応接室に入っていつもの場所に座っていた。
いつもの場所とは私と同じソファーに武が座り、机を挟んで向かい側のソファーに蒼と桔梗が座る形のことだ。
「今日は初めての実戦だったんでしょ?2人ともどうだったの?」
麟太朗様を待ちながらいろいろな雑談をしていると今度は蒼がニコニコしながらそんな話を振ってきた。
「…」
蒼の隣で琥珀もあまり興味なさそうにだが一応結果は聞いとこうかといった様子で私たちを見る。
2人とも聞かなくてもなんとなく結果は分かっていますよって態度だ。
「蒼たちと一緒だ。余裕だった」
蒼たちの質問にまずは武が特に表情を変えることもなく、淡々と答える。
そして私も武と同じような感想だったので「隣に同じく」と短く感想を述べた。
…ただでさえ能力差がある上に私は2回目だから楽勝だった。相手にすらならない。が正しい感想だが。
これを素直に言っても蒼たちには訳のわからない話になるのでもちろん言わない。この感想は心の中に留めておく。