2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
「全員揃ってるようだね」
一応、初めての実戦の話をしていると、扉の方から物腰の柔らかい男の人の声が聞こえてきた。この声は私たちが待っていた人物の声。
「「「麟太朗様、お疲れ様でございます」」」
麟太朗様の姿が見えるなり、私以外、全員がその場に立ち、麟太朗様が立っていらっしゃる方へ体を向け、頭を下げた。
この表現でわかる通り、私だけ久しぶりのことすぎて1人出遅れており、その場に座ったままだ。
「お疲れ様でございます!」
挨拶をしないだなんてもちろん論外なので私は急いでその場から立ち、麟太朗様の方へ体を向けて頭を勢いよく下げた。
言い訳をさせてくれー!久しぶりすぎて本当に麟太朗様への挨拶の習慣を完璧に忘れていたんですー!
すみませんー!
「みんなもご苦労様。紅は今日は元気が有り余っているようだね」
私たち…いや、主に私に微笑みかけながら麟太朗様がいつものように、この部屋の中で一番座り心地の良さそうな椅子に腰掛ける。
うぅ、なんたる失態。
麟太朗様が座られたことを確認すると武たちも自分たちの椅子に腰掛けた。
私は腰掛ける前に「申し訳ありません」と深くそれはもう深ーく頭を下げて最後に椅子に腰掛けた。
横を見なくてもわかる。
武の責めるような視線が痛い。