2度目の人生で世界を救おうとする話。前編






それでも次期当主という立場を確固たるものにし、女であると疑われないのは姉さんの強さと努力があるからだ。


今の姉さんは努力の末に歴代最強と呼ばれるまでの能力者になっている。
表立って言われることはないが、あの麟太朗様にも引けを取らないと裏で囁かれるほどにだ。

さらに姉さんはその美しさを逆に利用して儚く近寄り難い雰囲気を作り、他を寄せ付けないようにした。

姉さんはいつも完璧だった。



そんな姉さんが僕は最初は兄として大好きだった。
だけどいつからか女になっていく姉さんが目について姉さんを姉として見てしまい、女として愛してしまっていた。


もちろんそんなことは許されるはずがない。
僕と姉さんは母親が違えどきちんと血が繋がっている姉弟だ。

望みなんてない。
だからせめて誰よりも姉さんの近くで姉さんの側にいるのだ。
姉さんは弟として誰にも渡さない。



「…はぁ」



部屋に1人でいてもつまらない。
僕は気分転換に部屋の外へと出た。


そしてついでに飲み物でも飲もうかとキッチンへと向かうことにした。



「…?」



ちょうどその途中で本当にたまたま、ある部屋の中で難しい顔をして何かを話している両親の姿がちらりと見えた。


何を話し込んでいるのだろうか。


少しだけ気になった僕はその部屋にこっそり近づいて聞き耳を立てた。



そこで僕は真実を知った。


姉さんとは血が繋がっていないこと。
僕の幸せを願った両親が姉さんを犠牲にしていること。

僕は居ても立っても居られず部屋に入った。



「今の話は本当なの?姉さんは僕とは血の繋がりはないの?」



僕が急に現れて真剣にそんなことを聞くものだから両親は2人とも心底驚いている様子だった。

そして両親は大きく頷き、僕の言葉を肯定した。










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