2度目の人生で世界を救おうとする話。前編
それはそれで全然構わないのだが問題もある。
「ご馳走様でした」
紅のことを考えている内に朝食を食べ終えた。そして食器を片付けて食堂を後にする。
「随分早起きだな」
すると食堂の入り口で琥珀に会った。
「まぁね。正直まだ眠い」
「だろうな」
琥珀に張り付いたような笑みを向ければ琥珀はいつもの無表情で僕を見返してきた。
琥珀の言う通り僕は今日無理をしてこの時間に食堂に来ていた。いつもならこの時間はまだ寝ている時間だ。
「で、どうだった?」
「…大方予想通り。とりあえず周りには牽制はしといたけど。紅にも注意した」
琥珀が僕に声をかけてきた理由なんて一つしかないので琥珀の質問に手短に答える。
琥珀も僕も、ついでに武も幼い頃から紅が女である秘密を共有し、紅を守ってきた。
高校生になってますます綺麗になっていく紅は正直そろそろ誤魔化しが効かない所まで来ていると思う。
男子校にいる以上男として見られるとは思うが、それでも手を出したくなる美しさが紅にはどうしてもある。
今までは儚げで近寄りがたい絶対的なオーラを身に纏っていた紅だったがここ最近の紅は先程も言ったがどこか抜けている。
なので紅をそういう対象として見始めている男がここ数日で明らかに増えているのだ。
それを察してなのかここ数日は紅に朱がべったりだったのでそこまで気にしていなかったが今日は紅が1人になるとわかっていたので僕は紅が1人にならないように共に朝食を食べるようにした。