パンデミック.新形コロナウイルス
部屋には、僕とリサさんしかいなかった。
静まり返ったホテルの部屋。パンデミックという壁に囲まれた、僕たちだけの密室。モニターの中では炭治郎たちが激闘を繰り広げているが、画面の外側にいるのは僕と彼女、二人きりの呼吸だけだ。
「秋生、大丈夫?」
リサさんの声が、密室の空気を震わせた。彼女が僕の隣に寄り添う。僕は彼女の肩を抱き寄せた。誰の視線もない、誰の指示もない。僕たちは、何者にも頼らず、ただ互いの体温を頼りに、この世界の無菌化された孤独と戦わなければならない。
僕はキーボードに向かう。もう頼るべき幻影はない。画面の中の剣士たちが命を賭して戦うように、僕もまた、今のこの閉塞感を物語という名の刀で切り裂く。
「ねえ、リサさん。僕たちは、この部屋で何と戦えばいいんだろう」
僕の問いに、彼女は何も言わなかった。ただ、僕の手を強く握り、僕の胸元に頭を預けてきた。その重みが、今の僕にとっては、どんな勝利よりも尊い答えだった。
誰に見られることもない、この狭い部屋で。僕たちはパンデミックの先にある明日を目指して、ただ静かに、けれど誰よりも熱く、呼吸を合わせ続けていた。
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