パンデミック.新形コロナウイルス
麻酔が覚めたばかりの私は、その理不尽なシステムと無責任な看護師たちへの怒りで病棟のベッドの上で騒ぎ立てた。
しかし、隣のベッドから聞こえてきたニコルの声に、その動きがピタリと止まる。
「まだ麻酔が覚めたばかりだから、腸が動いていないから水は飲めないよ」
その一言を聞いた瞬間、私はすっと大人しくなった。ニコルに罪はない。悪いのは、責任を放棄して患者を丸投げする手術室の連中であって、同じように痛みや不安を抱えているニコルではない。そう思ったからだ。
私は怒りを飲み込み、ただじっと麻酔が覚めるのを我慢することにした。
けれど、セロテープで乱暴に貼り付けられた眼帯が視界を完全に塞いでいる。せっかくすぐ近くにニコルがいるというのに、その顔も、表情も、口元も、歯並びすら一切見えない。ただ耳に届く声だけを頼りにするしかないなんて、あまりにももったいなく、そしてどこか切なかった。
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