パンデミック.新形コロナウイルス
だが、物語の秩序を塗り替えるように、あかりがその病院へやってきたのは、まさにその少しあとのことだった。
冷たい夜の闇のなか、病院の門の前に置き去りにされた赤ん坊――それが、あかりだった。身寄りも、名前を記した紙切れさえもない。血のつながった両親に捨てられたその小さな命を、病院側はひとまず保護し、厳重な検査を行うことにした。
そして判明した残酷な真実。彼女の小さな体には、白血病という容赦のない病魔が巣食っていたのだ。
親もいなければ、身元を引き受ける者もない。頼れるもののない絶望的な状況のなかで、病院はこの身寄りのない少女を見放さなかった。治療費を求めることもなく、すべてを無償で引き受け、この白亜の病棟のなかに彼女の居場所をつくり、医療スタッフたちの手で育てることを決めたのだ。
冷徹なシステムや裏の闇を抱えたあの病院のなかにあって、あかりの存在だけは、誰もが抗えない純粋な慈愛の光として、静かに息づいていた。
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