パンデミック.新形コロナウイルス
緊迫したレントゲン室に、ひょっこりと明りが姿を現した。
室内のただならぬ気配を感じ取りながらも、明りはきょとんとした顔で泣きじゃくるおじさんと、それを静かに見つめる遥を見回した。そして、事態をなんとなく察したのか、ケラケラと明るい声を上げてこう言ったのだ。
「なんだ、そういうことか! じゃあさ、おじさん、いっそ遥ちゃんと付き合っちゃえばいいじゃん!」
「えっ……!?」
予想外すぎる明りの言葉に、ニコルも南ちゃんも、そして当の本人であるおじさんと遥までもが目を丸くした。
しかし、明りはいたって真面目(あるいは独特のマイペースさ)に、コテッと首をかしげながらこう続けた。
「もちろん、世間一般で見れば未成年と大人の恋愛とか、いろいろ難しいルールはあるのかもしれないけどさ……。でも、この病院の地下には、そんな窮屈な世間のルールなんて何ひとつないんだから関係ないよ! 私たちはふたりのこと、全力で応援するからさ!」
その言葉を聞いたニコルと南ちゃんは、顔を見合わせた後、ふっと柔らかな笑みを浮かべた。
「……そうだね。明りの言う通りかもしれない」
ニコルが小さくうなずき、南ちゃんもそれに続いた。
「世間の常識なんて、あの冷たい地上での話だもんね。この地下の世界では、私たちが幸せだと思える選択が一番大切なんだよ」
さらに、南ちゃんは現実的な金銭面の心配についても優しく微笑みながら付け加えた。
「それにさ、遥ちゃんは今お金がなくて困っているけれど、おじさんと一緒に暮らす選択をしてもいいし、もちろんずっとここにいたっていい。そうすれば、遥ちゃんのこれからの生活の心配もなくなって、私たちも……うん、みんなが助かるよね!」
親を失い、親戚からも見捨てられ、生きる道すら見失っていた遥にとって、その提案はあまりにも型破りで、けれど胸のつかえがスッと降りるような、あたたかな救いの手だった。
世間の物差しでは絶対に測ることのできない、けれどこの地下の病棟だからこそ生まれた、不器用で優しい絆の形――。冷え切った現実を吹き飛ばすようなその言葉に、遥の瞳から再びこぼれ落ちた涙は、今度は悲しみではなく、確かな安堵と温もりに満ちていた。
室内のただならぬ気配を感じ取りながらも、明りはきょとんとした顔で泣きじゃくるおじさんと、それを静かに見つめる遥を見回した。そして、事態をなんとなく察したのか、ケラケラと明るい声を上げてこう言ったのだ。
「なんだ、そういうことか! じゃあさ、おじさん、いっそ遥ちゃんと付き合っちゃえばいいじゃん!」
「えっ……!?」
予想外すぎる明りの言葉に、ニコルも南ちゃんも、そして当の本人であるおじさんと遥までもが目を丸くした。
しかし、明りはいたって真面目(あるいは独特のマイペースさ)に、コテッと首をかしげながらこう続けた。
「もちろん、世間一般で見れば未成年と大人の恋愛とか、いろいろ難しいルールはあるのかもしれないけどさ……。でも、この病院の地下には、そんな窮屈な世間のルールなんて何ひとつないんだから関係ないよ! 私たちはふたりのこと、全力で応援するからさ!」
その言葉を聞いたニコルと南ちゃんは、顔を見合わせた後、ふっと柔らかな笑みを浮かべた。
「……そうだね。明りの言う通りかもしれない」
ニコルが小さくうなずき、南ちゃんもそれに続いた。
「世間の常識なんて、あの冷たい地上での話だもんね。この地下の世界では、私たちが幸せだと思える選択が一番大切なんだよ」
さらに、南ちゃんは現実的な金銭面の心配についても優しく微笑みながら付け加えた。
「それにさ、遥ちゃんは今お金がなくて困っているけれど、おじさんと一緒に暮らす選択をしてもいいし、もちろんずっとここにいたっていい。そうすれば、遥ちゃんのこれからの生活の心配もなくなって、私たちも……うん、みんなが助かるよね!」
親を失い、親戚からも見捨てられ、生きる道すら見失っていた遥にとって、その提案はあまりにも型破りで、けれど胸のつかえがスッと降りるような、あたたかな救いの手だった。
世間の物差しでは絶対に測ることのできない、けれどこの地下の病棟だからこそ生まれた、不器用で優しい絆の形――。冷え切った現実を吹き飛ばすようなその言葉に、遥の瞳から再びこぼれ落ちた涙は、今度は悲しみではなく、確かな安堵と温もりに満ちていた。