パンデミック.新形コロナウイルス
上松が受け持つ保険体育の授業は、一般的な学習指導要領からは完全に逸脱した異様な時間だった。
教科書を開くことなどほとんどなく、教壇に立つ上松は、元風俗店員としてのディープな実体験をベースにした、赤裸々すぎる下ネタや世間の裏側の話を平然と授業で喋り倒す。あまりにも際どく、恥ずかしい内容の連続に、教室の生徒たちは最初は戸惑いながらも、やがて腹を抱えて笑い声を上げるようになった。
とりわけ、ニコルはその手の話題に妙に詳しかった。彼女自身もかつて風俗の世界に身を置いていた過去があるため、上松のぶっ飛んだ下ネタの講義に鋭いツッコミを入れるだけでなく、「先生、それじゃ甘いですね」と言わばかりに、より深い裏の知識や世間の生々しい実態を次々とクラスメートに教授し始めたのだ。
元風俗店員の変態教師と、同じく風俗の裏を知るニコルが共謀するかのような授業。
保健体育という名の授業はいつしか完全に脱線し、倫理も道徳もかなぐり捨てた、底抜けに下世話で、しかしどこか人間臭いカオスな空間へと変貌し切っていた。
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